■2.不動産会社としての見解
今回の事例は、税理士さんからのご紹介で来られたお客様の事例です。
親御さんとしては、修繕費が嵩んでくることを危惧し、息子さんに負担をかけまいとアパート経営を閉じることにされたようです。
そのお気持ち、よく分かります。
相続が開始された時には、入居者は6世帯中1世帯だけでした。
しかも、唯一の入居者は相続人である息子さんであるため、賃料収入はゼロの状態です。
本当にアパート経営をやめるおつもりだったんでしょうね。。。
相続人である息子さんから「売地として売却したい」とご相談を受けた際、念のためとアパートの中を見させていただきました。
確かに、キッチンや給湯器など型が古いため、いずれ交換しなければならなくなるでしょう。
空室期間が長くなってしまったお部屋のクロスにはカビが生えていますし、収益物件として売却する際はその分の修繕費の値引きが入りそうです。
しかし、築38年で、リフォームすればまだまだ使える状態ではありました。
又、全室2LDKの間取りで、立地的にも需要の多い間取りなので収益物件としては魅力的な物件でした。
特に青森市の収益物件は需要に対して供給量が少なく、収益物件を探している投資家は多数いらっしゃいます。
リノベーションが盛んになってきている今こそ、あえて古い収益物件を探している投資家も多いようです。
ただし、相続した収益物件の入居率は、1世帯/6世帯の16%。
しかも唯一の入居者が相続人で、現状賃料なしで入居していることから、現状の賃料収入はゼロとなります。
収益物件の需要はあるものの、賃料収入がゼロの場合、なかなか高値での売却は難しくなるでしょう。
かといって、費用をかけてリノベーションを行い、満室にしてから売却するというのも、相続人は望んでいませんでした。
相続人の気持ちとしては、
「今となってはなるべく費用をかけず、面倒なく売却したい」
とのことです。
そこで、収益物件でも売地としても検討できるよう、「現状引渡し」を条件に販売することにしました。
結果、収益物件、売地両方面からの問いあわせがあり、合わせて3件のお申込が入りました。
最終的には相続人である売主様のご意向から、売地目的で活用する方へ売却することとなりました。
ただ、もし入居者がもう少しいたら、収益物件で検討される方が圧倒的に多くなったと思います。
仮に入居率が60~80%であったなら、更地価格より300~500万円高値で売却できたことでしょう。
収益物件は、マイホームとして活用するための土地や中古住宅とは客層も異なりますし、考え方も変わってきます。
どうやって売却するかを決める前に、一度ご相談してみることをおすすめします。