■2.「良い不動産査定書」を見分ける5つのポイント
不動産査定書には、形式の決まりがありません。
1枚だけの不動産査定書もあれば、数十枚におよぶ不動産査定書もあります。
不動産査定書は、不動産会社によって異なります。
良い不動産査定書を見分けるには、どこを見たらいいのでしょうか?
以下、良い不動産査定書を見分ける5つのポイントを解説していきます。
「良い不動産査定書」ポイント1.
物件の調査結果が記載されていること
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良い不動産査定書には、必ず
◎現地調査の結果が記載されています。
正確な不動産査定をするには、現地調査が必須です。
「現地調査しなくていいから金額だけ知りたい」
と思われる方もいらっしゃるかと思います。
しかし、不動産査定する上での現地調査は、不動産売却を考える売主様にとってはとても重要なことなんです。
なぜなら、現地調査結果で不動産売却する際の経費の目安がわかるからです。
そういう意味で、現地調査結果は不動産査定額に大きく影響を与えます。
又、不動産売却後、売主様の手取り額にも影響を与えます。
以下は、現地調査をして実際に判明した事実の具体例です。
現地調査で判明した事実 |
今後の対応 |
・境界が一つなかった |
➡境界復元が必要 |
・敷地内の木や草が、隣地を超えて伸びていた |
➡引渡しまでに伐採が必要 |
・敷地内の木に毛虫が異常発生していた |
➡引渡しまでに駆除が必要 |
・雪の重みで軒下が壊れていた |
➡修理するか、値引が必要 |
以上は具体例の一部ですが、このような事実が判明すると、売主はなんらかの対応をしていかなければなりません。
不動産査定の段階でそれが分かっていれば、不動産売却する上での経費を予測しておくことができます。
不動産査定をする上で、現地調査は必須項目です。
良い不動産査定書には、現地調査結果とともに、不動産売却に必要な経費の目安が記載されています。
さらに、良い不動産査定書には
◎法的な違反や制限など、法的な調査結果が記載されています。
正確な不動産査定をするには、現地調査に加え「法的な調査」も必須です。
不動産売却をする際、法的な規制が沢山関わってきます。
法的な規制によって、不動産売却したくてもできない不動産、不動産売却しにくい不動産もたくさんあるのです。
不動産査定時に行う法的な調査では、不動産売却できるか否か、又、売却しやすいかしにくいかが分かります。
法的な調査結果は、不動産査定額にも大きく影響を与えます。
正しい不動産査定書を作成するには、法規制の調査は必須であり、良い不動産査定書には必ず法的調査結果が記載されています。
以下は、法規制の調査によって判明した事実の具体例です。
法的調査で判明した事実 |
今後の対応 |
・実は住宅が建てられられないエリアだった |
➡購入者は利用の用途が限られる |
・前面道路に水道の本管がなかった |
➡購入者は水道の引込が必要になる |
・建ぺい率オーバーの違反建築物だった |
➡売却するには減築が必要 |
・建物の滅失登記がなされていなかった |
➡売却するには滅失登記が必要 |
以上は、具体例の一部です。
法的な規制は目には見えないもの。調査して初めてわかることが多々あります。
不動産査定の段階でこのような事実がわかっていれば、不動産売却する際になんらかの対策をとることができるでしょう。
また、現状に合わせた販売価格を設定することで、デメリットを価格でカバーすることもできるはずです。
良い不動産査定書には、法的な調査結果とともに、不動産売却しやすい不動産か否かが記載されています。
良い不動産査定書には、
◎その不動産のメリットやデメリットが記載されています。
不動産は、物と違って同じものが二つとありません。
正確な不動産査定をするには、その不動産が持つ特徴を理解し、査定額を算出していかなければなりません。
不動産査定書では、その不動産がもつメリットとデメリットを、査定依頼者と共有する必要があります。
良い不動産査定書は、その不動産が持つメリットとデメリットがわかりやすく記載されています。
メリットやデメリットを表でまとめている不動産査定書は◎です。
見やすい不動産査定書は、売主にとってもご自分の不動産について客観的に見ることができます。
また、不動産のメリットとデメリットを知ることで、売却時のターゲットが見えてきます。
ターゲットが見えると販売方法も導きやすくなり、今後の売却活動に役立ちます。
「良い不動産査定書」ポイント2.
価格が具体的に記載されていること
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良い不動産査定書には、査定額が具体的に記載されています。
例えば「●●●円」と、具体的にハッキリ不動産査定書に記載されています。
不動産は同じものが二つとない為、実は相場を出す作業は実はとても難しいのです。
だからこそ、不動産査定書を作成するスタッフは緻密な調査が必要になるのです。
不動産査定書に記載される査定額は、「絶対にこの価格で売れます」と補償するものではありません。
しかし、調査をしっかり行った担当者であれば、
「この価格!」とハッキリ見えてくる価格があるものです。
例えば以下の3つの価格が提示できます。
◎うまくいけば売却できる可能性がある価格のMAX(上限価格)
◎相場から見て妥当な価格(標準価格)
◎この価格なら絶対に売れるという最低価格(確実価格)
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不動産査定書に、3つの価格のうち、1つでも価格が具体的に記載されている不動産査定書は◎です。
「1,000万円~1,200万円」というようなアバウトな査定額は、自身のなさの表れかもしません。
不動産査定書に具体的な査定額が記載されているか否かは、良い不動産査定書かどうか見分けるポイントの一つです。
「良い不動産査定書」ポイント3.
査定額の根拠がきちんと記載されていること
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良い不動産査定書には、必ず「査定額の根拠」が記載されています。
そして良い不動産査定書は、査定額の根拠が分かりやすく具体的に記載されています。
良い不動産査定書を読めば、
「なるほど!だからこの査定額になるのか。」
と納得することができます。
不動産査定書の「査定額の根拠に納得できるか否か」が、良い不動産査定書の見分け方の一つです。
例えば、A社の不動産査定書は10年前の取引事例を参考にし、B社は3年以内の取引事例を参考にしていた場合、どちらの不動産査定書精度が高いでしょうか?
当然最近の事例をもとにしたB社の不動産査定書ですよね。
10年前と今とでは、市場が大きく変わっているからです。
又、A社は取引事例2件を集めて相場を出し、B社は取引事例10件を集めて相場を出した場合、どちらの不動産査定書の精度が高いといえるでしょう?
これもやはり、B社の不動産査定書の方が精度が高いといえますよね。
良い不動産査定書のポイントは、
◎古い事例ではなく、近年の事例を活用していること
◎築年、間取り、面積など査定対象と似ている事例を活用していること
◎できるだけ多く事例を集めていること
◎取引事例と募集事例、両方を活用していること
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不動産査定をするにあたり、どの事例を使い、どのくらいの量を集めるかは、担当者の技量によります。
不動産査定書を見る際は、査定額だけにとらわれず、査定額の根拠をしっかり読んで、良い不動産査定書を見極めましょう。
「良い不動産査定書」ポイント4.
売却の提案が記載されていること
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良い不動産査定書には、最適な売却の提案も記載されています。
不動産売却の方法は色々です。
ターゲットを誰にするか、リフォームして売却するのか、現状のままで売却するのか、それによって販売価格も変わりますし、経費も変わってきます。
良い不動産査定書には以下の情報が記載されています。
◎考えられる売却方法
◎売却方法それぞれの査定額と経費、売却した際の手取り額
◎売却方法の提案(どの売却方法がオススメか)
不動産売却には経費がかかります。
又、その不動産によって最適な売却方法も異なります。
良い不動産査定書には、最適な不動産売却の提案が記載されています。
「良い不動産査定書」ポイント5.
見やすく、わかりやすい査定書であること
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良い不動産査定書は、見やすく、わかりやすいのが特徴です。
不動産査定書に「見やすさは関係ないんじゃない?」
と思われるかもしれませんが、実はとても重要なポイントです。
なぜなら、不動産査定書の見やすさ=営業活動のレベルの高さに比例することが多いからです。
不動産売却を依頼した際、物件資料を作成したりチラシを作成するのは、不動産査定書を作成した営業マンであることがほとんどです。
時々、ネットに掲載されている画像がボヤけていたり、文字ばっかりで見にくいチラシや資料を見かけませんか?
営業活動も集客活動も、営業マンの技量にかかってくることが多いです。
どうせ募集してもらうなら、センスがよく、見栄えよく掲載してほしいですよね(*^^*)
不動産査定書は、そういう営業マンの隠れた技量を確認できる重要な情報源でもあることを覚えておきましょう。