■2.不動産の引渡しに必要な書類について詳しく解説

ここでは、不動産の引渡し時に必要な書類について、もう少し詳しく解説していきます。
不動産の売買契約をする時と、不動産の引渡し時では必要な書類も異なってきますので注意が必要です。

不動産の引渡しには、登記済証又は登記識別情報が必要です。
登記済み権利証と登記識別情報は、不動産の所有権を証明する書類です。
売主だけが持つ情報であり、この情報を持つことで真の所有者であることを証明できるので、非常に重要な書類となります。
登記済み権利証と登記識別情報は証明内容は同じですが、平成20年から平成30年3月31日にかけて、登記済権利証は登記識別情報へ移行されました。
よって、現在、不動産の所有権を証明する書類は、登記識別情報のみとなっています。
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登記済証(権利証)又は登記識別情報は、とても重要な書類です。
不動産の引渡しの時になって、「権利証が見つからない!」と慌てる方や、保管場所を忘れてしまう方がいらっしゃいます。

登記済証(権利証)又は登記識別情報がなければ所有権移転はできません。
事前に確認しておきましょう。
万が一なくしてしまった場合は、できるだけ早く、不動産会社を通じて司法書士へ相談しましょう。

不動産の引渡しには、「本人確認書類」が必要です。
これは、売却する不動産の所有者であることを証明するために必要となります。
本人確認書類として、運転免許証やマイナンバーカード、パスポートがあげられます。
不動産の引渡しには、実印が必要です。
実印とは、市区町村の役所に登録した、公的に認められた印鑑のことです。
役所に印鑑を登録することを印鑑登録といい、登録された印鑑を実印と呼びます。
実印は、本人の意思表示を証明する重要な印鑑です。
契約時、売買契約書に捺印する際に使用します。

実印を持っていないという方は、新たにつくる必要があります。
作成には時間がかかるため、もし持っていない場合は事前に作成しておきましょう。
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実印を作成するには、以下の手順で行います。
■印鑑店で実印を作成
実印は、印鑑店で作成することができます。
実印は、柘植や水牛などの素材で作られることが多く、個人の氏名や住所などを彫刻します。
↓
■印鑑登録の申請
実印を作成したら、市区町村の役所に印鑑登録の申請を行います。
印鑑登録の申請には、実印と印鑑登録申請書が必要です。
↓
■印鑑登録証明書の取得
印鑑登録が完了すると、印鑑登録証明書が発行されます。

印鑑登録証明書は、実印を使用した契約書などの添付書類として必要となる場合があります。
不動産の引渡しには、「印鑑証明書」が必要となります。
印鑑証明書とは、登録された印鑑が本物であることを証明する書類です。
市町村の役場で発行してもらうことができますが、自治体によってはコンビニで取得することもできます。
有効期限があり、発行から3ヶ月以内のものを用意する必要があります。
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■役場で取得する際に必要なもの
①印鑑登録証(登録カード)
②本人確認書類(免許証、健康保険証など)
③手数料

■コンビニで取得する際に必要なもの
①マイナンバーカード
②手数料

不動産の引渡しには、「固定資産税通知書」が必要となります。
売買代金を決済するにあたり、固定資産税・都市計画税も清算します。
負担の割合は、1月1日を起算日とし、引渡日より前日までが売主、引渡日以降が買主となります。
固定資産税通知書及び都市計画税通知書は、売主と買主の間でそれらの税金を精算するための根拠となる書類です。

所有権移転を行う司法書士によっては、通知書原本を求められるケースもありますので、なくさないよう大切に保管しておきましょう。
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精算する際、固定資産税通知書は、基本的に最新のものを元に計算します。
ただし、固定資産税通知書が所有者の元に届くのは5月か6月以降です。
引渡しが1月~4月だった場合、最新の通知書が届かない状態で精算しなければならないことになります。
そういった場合、「前年度の額で精算する」となる場合もあります。
何年度のものを利用するのか、不動産会社を通じて予め確認しておきましょう。

・確定測量図、境界確認書 ※「引渡し日までに測量を行う」約定がある場合 |
不動産の引渡しには、「確定測量図」や「境界確認書」が必要となります。
通常、土地や建物の図面関係は、不動産の売買契約の際、重要事項説明書や契約書に添付して買主へ渡します。
ただ、契約内容によっては、「引渡し日までに測量を行う」という場合もあります。
そのような場合、引渡し時に書類を買主へ渡すこととなります。

土地や建物を売却する際は、土地の面積や形状、隣地との境界線を明確にしておくことがとても重要です。
土地の面積や形状をはかったものが測量図で、隣地の所有者と土地の境界線について合意を得ていることを証明するために作成したものが境界確認書です。
測量図にはいくつか種類がありますが、現況測量図を基に、隣地の所有者や道路所有者(国や地方公共団体)と立ち合いのもと、境界も確定させたものを確定測量図といいます。
道路含め、隣接する全部の土地との境界が明確に決まるため、最も信頼性が高い測量図といえます。
不動産売却には「確定測量図」が必ず必要というわけではありませんが、できるだけ用意することをオススメします。
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測量及び境界確定を、「契約終了後、引渡しまでに行う」というふうに、測量を後にすることもできます。
しかし、実行したら境界トラブルが発覚したり、境界の位置が異なっていることが発覚することはよくあります。

買主とトラブルにならないためにも、境界の確定は売却前に行うのがのぞましいです。
中古住宅やマンションを売却する場合は、売買代金の受領と同時に鍵も引渡さなければなりません。
玄関の鍵の他、物置や車庫など、持っている鍵全て引渡します。

引渡したら、買主から「鍵受領書」を受け取ります。
鍵受領書は、通常不動産会社が準備してくれます。
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契約条件の中に、「引渡しまでに鍵を交換する」という特約をいれる場合がよくあります。
もし引渡し日までに鍵交換することを約束していた場合は、新しい鍵を持参しましょう。
もし住宅ローンを完済していない不動産を売却する際は、抵当権を抹消する必要があります。
通常は、売却代金を残債の返済に充て(不足があれば現金を足し)、一括返済を行うため引渡しと同時に抵当権を抹消します。
抵当権を抹消するために必要な書類は抵当権者(お金を融資した銀行)が保有しています。
抵当権の抹消手続きは売主自ら行うこともできますが、司法書士に依頼するとスムーズです。
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住宅ローンが残っている不動産を売却する際は、売主は売却前に抵当権を抹消する必要があります。
手続きは司法書士に依頼することができます。

どの司法書士に頼んだらいいか不安な場合は、不動産会社へ相談しましょう。
不動産会社はお付き合いのある司法書士を数人かかえていることが多いので、その時の状況に合わせて最適な司法書士を紹介してくれると思います。
不動産の引渡しには、「銀行口座の通帳」が必要となります。
決済当日は、売買代金その他清算金が振り込まれる銀行口座の通帳を持参しましょう。

買主は売主に対し、売買代金、固定資産税などの精算金などの支払いをしなければなりません。
振込用紙の記入など、支払い手続きは事前に行われる場合もありますが、決済当日に行われることも多々あります。
振込先は不動産会社を通じて買主へ事前に伝えておくのがほとんどですが、通帳を持参していくと安心です。
キッチンやエアコンなど、設備の取り扱い説明書や保証書などは、新しい入居者となる買主にとってはありがたく、そして重要な書類です。
もし買主へ引き継げる書類がある場合は持参しましょう。
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以前中古住宅を仲介した際、新築した際の書類やリフォームした時の契約書や領収書、その他設備の取扱説明書や保証書などを時系列にしたがってキレイにファイリングされたものを買主様へ渡していらっしゃいました。

いただいた購入者はとっても喜ばれ、今後は自分たちもこのファイルに追加していくとおっしゃっていて、とても気持ちよくお引渡しが完了したのを覚えています。
ないものは仕方がないですが、少しでも買主様が必要と思われる書類がある場合は、ぜひ引渡の際ご持参しましょう。
もし現在の住所が登記簿上にある住所と異なる場合、不動産の引渡しには「住民票」が必要となります。
なぜなら、印鑑証明書と登記簿に記載されている住所が一致していなければ、司法書士が本人確認できないからです。
又、「現在の住所」と「登記上の住所」が異なる場合には、必ず、住所変更登記が必要です。
手続きは司法書士に依頼することも可能です。
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不動産売却の際、何気に多いのが「住所変更登記をしていない」ケースです。
司法書士に依頼することももちろんできますが、費用はかかります。
引渡し直前に行うのではなく、事前に自分でやっておけばその分節約にもなります(*^^*)
余裕がある場合は、下記を参考に挑戦してみましょう。
★参考にしてみよう
法務局(住所変更手続き)
